4年ぶりの村での暮らし――人の善さは変わっていないが、変化は見える。村の人口が増えていること、ゴミ収集車が回るようになったこと、そしてハイウェイ仕様に国道が整備されたこと。
村の家並みを越えた高さに車道が走るようになったのだ。ナグプールも開発ラッシュ。モノレールも走り出した。インド全土で怒涛の都市開発が進んでいる。
国道の走り心地は、すこぶるよい。子供の頃のラケシュは、隣町のウムレッドまで、父と一緒に牛車を引いて2時間半かけて(しかも途中で牛のために川に立ち寄ったりして)出かけていたそうだが、今や10分で行けてしまう。
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以前と比べて、村に猫が確実に増えた。インドでもペット・ブームなのだそうだ。ただ村の場合は、野生の犬や猫がある日家に入ってきて、餌をあげたらなついて居座るようになったというパターンが多い。
この地では、犬も牛も気ままに移動して暮らしている。“ノブの犬”として飼っていた(というか好きにさせていた)犬は、一年近く姿をくらましていたが、私が来る直前になって、なぜか戻ってきたという。「ヨシオ」(好雄)と命名。性格がよさそうだからw。
さっそく私になついて、なでなでをせがむようになった(私にというより、ビスケットと私の手にだろうと正しく理解しているが)。
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なんとエサとしてあげていたのは、缶入りのビスケット。日本の猫好きなら目の色変えて反対するであろう不健康メニュー。だがヒメコ、バリバリ、ウミャウミャと唸りつつ、おいしそうに食べている。ビスケットを猫が食べるとは。
ビスケット食べるの???
ちょうど近所の婦人が、川魚の揚げ物を差し入れてくれたので、「魚あげたら?」というと、「魚?」とラケシュがびっくりしているのを見て、私がびっくりした。なんとこの地の猫は、魚を喰わないらしい。まあ、魚が棲む川もないし、多くの家はベジだから。
魚の揚げ物をあげてみると、生まれて初めて食べた魚がおいしかったらしく、目を点!にしていた。フンフンと鼻を鳴らしてあたりを探すが見当たらない。魚をくれた私をまっすぐ見て、大声で「魚くれニャ!」と鳴きだした。インドでは、人間も猫も、自己主張が烈しい。ウミャウミャ唸ってかじりついていた。
「でもウチはベジ(野菜)だからね」と、冷ややかに笑うラケシュ。禁断の実を食べさせてしまったのかもしれない・・・。
アスカもお気に入りのヒメコ・・家族が増えたみたいで楽しい
2024年2月